僕が僕であるために

社会に関する硬いことからくだらないことまで気の赴くままに書き綴ります。

お前に地球を救えるか!~「もののけ姫」を劇場で見て~①

はじめに

 「黙れ小僧!」「お前にサンを救えるか!」言わずと知れた名シーンである。何の作品の名シーンかというと、スタジオジブリ宮崎駿監督による映画「もののけ姫」である。

  日本人なら誰もが一度は聞いたことがあるであろうスタジオジブリ4作品(うち3作品は宮崎駿監督)が劇場で再上映しているということで先日友人と映画館へ「もののけ姫」を観に行った。

 実をいうと今回もののけ姫を観に行くまで、僕は一度も劇場でジブリ作品を見たことがなかった。というのも、ジブリ作品は日本の宝と言っても過言ではない名作ばかりで、ほぼ間違いなく金曜ロードショーなどでテレビ放映されるので、ケチ(倹約家?)な僕はわざわざ映画館に観に行く必要性を感じなかったのだ。また、これらの作品が上映されていた当時はまだ幼く、親同伴で映画を見に行くような年齢であったが、僕の家族は映画好きもジブリ好きも僕以外いなかった(いない)という事情もある。そんな家庭で育ってなぜそこそこの映画好きになったかはいつか書きたいと思う。

news.merumo.ne.jp 

なぜ「もののけ姫」か?

 「風の谷のナウシカ」「もののけ姫」「千と千尋の神隠し」「ゲド戦記」の4作品のなかでなぜもののけ姫を選んだかというと、1.米良美一が歌うもののけ姫を映画館のサウンドで聴きたかったということ、2.実はもののけ姫を最初から最後まで見たことがなかったことの2点が主な理由である。

 1.の米良さんの歌については期待していた通り、とんねるずにバラエティ番組でふざけて歌わされている時とは比べ物にならないほど素晴らしい歌声であった。これを聴きに行くだけでも劇場に足を運んでもいいと思う人もいるかもしれない。

 2.についてだが、他の3作品は金曜ロードショーなどで何度か観たことがあり、ストーリーも頭に入っていた*1もののけ姫だけは一部しか観たことがなかった。今回観るまでは、アシタカではなくサンが主人公だと思っていたくらいだ。

 先に、感想を少し書いてしまうと、ジブリ好きとはいってもアシタカとサンのどちらが主人公か知らないレベルの僕がわざわざブログの記事にしようと思うほど素晴らしい映画であった。だからこそ、もっと早くにしっかり観ておけばよかったという気持ちと、初めてがテレビではなく劇場でよかったという二つの気持ちが入り混じっている。

映画館の価値

 まず、もののけ姫という作品の前に、映画館について今回改めて抱いた感想があるのでそのことについて書きたい。

 コロナ禍ということもあり、僕自身久々の映画館であったため、小中学生時代の映画を見に行くというイベントが生活において金銭的にも、刺激的にも相対的に大きな非日常的なものであった時代の気持ちを思い出すことができた。大人になってしまった今は当時と比べて、電車に乗り映画館に行くことも、チケットを買うことも、その価格も大したことではなく非日常感が小中学生時代より弱まっていたが、コロナ禍という映画館に行きたくても行けないという期間があったことにより、昔のわくわく感を感じることができた。

 また、もののけ姫という名作とわかっているが、既に遠い昔(1997年上映)に上映されいて現在は劇場で見たくても見ることができないと思われていた作品が、まさかの劇場で見れるという僥倖*2がよりわくわく感を増大させたのかもしれない。

 結論を言うと、映画館の価値は悪魔的*3である。コロナ禍で何事もオンラインで済ませる動きが加速し、エンターテイメント業界や観光業界、飲食業界などはコロナが終息しても客が戻ってこないではないかと心配しているというが、リアルな体験というのはオンラインで代替不可能な価値があると改めて実感した。

 冒頭でも記載し、この記事のタイトルとしても使っている「黙れ小僧!」「お前にサンを救えるか!」というセリフを美輪明宏演じる山犬のモロが言い放った瞬間は比喩などではなくその迫力から本当に体が跳ね上がってしまった。映画館のスピーカーと静寂、大画面があったからこその反応だと思う。

 どんな声のトーンか気になる人は下記のアフレコ動画をご覧いただきたい。ちなみに、僕も友人もスタッフロールでサンの声優が石田ゆり子だと知りいい意味で驚いた。というのも、彼女以外もこの映画では本職の声優ではなく俳優が多く起用されているが、同じくジブリの某青春ストーカー作品のお父さんや某探偵漫画のサッカー選手のような違和感が全くなく、素晴らしい演技だったのだ。参考までにそれらの動画も貼っておく。

 


もののけ姫 アフレコ

https://youtu.be/W7dEzBdKua4


【名探偵コナン】 伝説の遠藤保仁の棒読み 【11人目のストライカー】

 ゲスト声優と主演を任されている声優を比べるのはナンセンスだが、声優が本職ではない人達があそこまでの演技をできることの偉大さは伝わるのではないだろうか?

 昨今、NetflixAmazon PrimeをはじめとしたVODサービスの発達により映画を見る手段は増え、手間や金額などあらゆるコストも低下し"手軽"に映画を見ることができるようになった。一見、これらの流れは映画館にとって厳しい流れのように思われがちだが、僕の場合はVODサービスに加入してから、以前にも増して映画館という映画を見ることだけに特化された、作品に集中できる空間の価値をより感じている。実際に、要因は様々あれど下記記事にあるように日本の映画業界は好調である。

eiga.com

 この記事にも記載されているが、映画館とVODは「共に生きることはできる!」のだと思う。かつて、新聞とテレビは競合すると思われていたが、新聞にあえてテレビ欄(番組表)を載せることにより、かえって新聞の売り上げが増加したという話を聞いたことがある。この例のようにVODと映画館も相乗効果を生み出すことができればウィズコロナ時代の映画業界の未来も明るいのではないだろうか?

 

 本当は、この一記事ですべて書ききるつもりであったが、明日は現代社会のタタラ場での労働があるのでここら辺で切らせていただく。

 

お前に地球を救えるか!~「もののけ姫」を劇場で見て~② につづく

 

*1:ゲド戦記のストーリーは難解すぎて私の頭には理解できなかった

*2:漫画『カイジ』でよく使われている言葉なので使ってみたかった

*3:これも『カイジ』から引用、最上級の褒め言葉